ミルクを持ってとうさんがもどってきた。
かあさんがそれを濾した。
とうさんはさしかけ小屋へちょっと入り、
顔いっぱいに笑みをたたえてもどってきた。
そして、かあさんに、ロフタスさんの店にあったカキの缶詰をふたつ、
手わたした。
「まあ、チャールズ!」
思わずかあさんは声をあげた。
「キャロライン、クリスマスのごちそうにカキのスープを頼むよ!
エレンの乳も、たくさんじゃないが、少ししぼったし。これでおわりだ。
もうほとんど乳は出ない。
しかし、これでどうにかなるだろう」
「水でうすめますよ。
さあ、クリスマスのごちそうに、カキのスープをいただきましょう!」
ワイルダー 谷口由美子訳「長い冬」