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24 アルマンゾんち

「お入りください、インガルスさん!
ちょうどいいときにいらっしゃった。
パンケーキとベーコンをめしあがっていきませんか!」
「昼めしどきとは知らなかった」

ストーブの台の上に、さめないようにベーコンの皿がのっているのを、とうさんは見た。
3段重ねのパンケーキがうずたかくのっている皿もある。
しかも、ロイヤルは、さらにパンケーキを焼いているではないか。
テーブルには糖蜜もあり、コーヒーがシュンシュン音をたててわいている。

「腹がへったときが食事時でね」と、ロイヤルが言う。
「独り者の特権ですよ。
女がいなければ、食事の時間も気ままなもんですよ」
「あんたらは、食料をたっぷり確保できて、運がよかったな」
と、とうさんがいった。
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「ロイヤルのパンケーキは、とうていぼくのにはかないませんけどね」
と、アルマンゾがいう。
「でも、このベーコンは最高ですよ。
ミネソタのおやじの農場で、クローバーで育て、トウモロコシで太らせた若い豚を、
塩漬けにしてヒッコリーの木でいぶしたものですからね」
「さあ、インガルスさん、座って、どうぞ好きなだけ食べてください。
地下室にまだたっぷりあるんですから」
ロイヤルは上機嫌だった。
そこで、とうさんはそうした。

ワイルダー 谷口由美子訳「長い冬」
by foodscene | 2009-11-25 16:37 | アメリカ


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