サラがキチンから姿を見せた。オードブルを盛りつけた皿を両手で捧げ持っている。見事な盛りつけだ。パイ皮の可愛い器に入ったソーセージとマッシュルーム、何かねりものを詰めてふくらんでいるカリカリのパイ皮包み、チーズの香りがする熱い軽焼菓子。サラはみんなにすすめる。
「さあ、たくさん召しあがれ!」
「サラ、すごいご馳走じゃないの!」とマーティが言う。
「とてもまねできないわ」
「あら、そんなことないわ。ありきたりのものばかりよ。あたし変ったお料理なんてできないの、ほんとうよ。べスは違うわ。彼女はお料理の名人ですもの。あの秘訣、わからないわ」
「このチーズソースはすばらしいな」とエドが言った。
「マーティ、作り方を教わっておいてくれよ、いいね?」
食事が済むと苺のムース、申し分なしの逸品。
(ジュディ・ゲスト著 大沢薫訳 「アメリカのありふれた朝」より)