時計が午後5時を知らせると、
女王陛下がどこにいらっしゃろうとも、
サウジアラビアの宮殿だろうが、ロイヤルヨットのブリタニア号の中だろうが、
牛乳を添えたアールグレー紅茶と、
パンの耳を切り落としたサンドイッチ、そしてお菓子が運ばれる。
ダイアナ妃がアレクサンダーに手編みのダブルの部屋着ジャケットを持って来たこともあった。
マリアとコーヒーを飲みながら、おしゃべりをして、
戸棚にあったチョコレートビスケットを食べながら、大笑いをして。
ダイアナ妃は、私が彼女のためにワイン用冷蔵庫に入れておいた
ホワイトチョコレートをかじりながら、パントリーに詰めている私に
よく話をしにやって来た。
私は階段を降りて、皇太子の紅茶を入れた。
ハイグローヴで皇太子が好んで飲んでいた、
ミルクを少し落とした濃いアールグレイだった。
ポール・バレル著 "A Royal Duty"