もう外国なんか行きたくない

栗拾いは秋、春には「わらびとり」の遠足もあった。
ちなみにフランス人は、わらびを全く食べないので、
探す必要もないほどのわらびの群落の中に入って、
手あたり次第それを採っても、まだまだいくらでも残っている。
その日も皆、持ち切れないほどのわらびを持って帰って来た。

それからしばらくの間は、わらびのおひたし、わらびの煮物、わらびごはん、わらびのつけもの、
わらびの天ぷら……と、日本人学校に子供の通うどこの家庭でも、
わらびづくしが続いたことはいうまでもない。

しかし、栗の方は、フランス人も大好きだからそうそう沢山、というわけにはいかない。
それでも、その夜我が家では、ほんの少しのパリの栗を大切にむいて栗ごはんを炊き、
日本の秋をしのんだ。
学校行事も一つずつ終って、そろそろパリも焼き栗のシーズンである。

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でも、お昼になるとカンティーヌ(給食)がなつかしい。
最後のメニュー、よく覚えてる。

前菜がキャロット・ラペ、そのあと腎臓のポルドー風、マッシュポテト、あんずのコンポット(甘く煮たもの)、
ココナツ入りビスケット。本当においしかった。
なかなか贅沢なお昼なのに、フランスの子供がとても祖末に食べるのにも驚いた。
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うさぎも、最初はちょっとためらったけど、
今では大好きなもののひとつ。
とり肉と同じみたいで、もう少しコクがある。
それから、ぶたの鼻づらは、名前を見た時ぞっとしてこわごわカンティーヌに行ったら、
普通のハムみたいで、コリコリしておいしくて、ほっとした。
ぶたの血をかためたソーセージもあるし、本当にフランス人はどこも無駄にしないで食べる。
食糧がとても豊富だが、そういう工夫のせいかもしれない。

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夜は、パパとママが出かけたので、審と二人で食べた。
ママが、ローストビーフをやいてくれた。
いためごはんと、トマトもいっしょに。
いいにおーい。
パン・オ・レザン(ぶどうパン)もあった。おいしかった。
でも四人でたべるともっとおいしいんだけどナー。

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夜、またおるすばん。
仔牛の肉と、じゃがいも、にんじん、パセリ入りのホワイトソースで、すごくおいしい。
ママたちもいっしょに食べるといいのに。
でもここはパリだからそうもいかない。

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食事はサーモンのゆでたのにタルタルソースのかかったの(大きいよ!)、
鹿の肉(ローランが狩でとってきたんだって、ワー)、
へんなおいもみたいなやさい(あとでチョロギとわかった)。
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魚料理を、ムール貝とクネル(フランス式かまぼこのようなもの)のアメリカンソースにして、
少し日本風のものが欲しいので、
サーモンとえびをあしらったちらし寿司を加え、
ほうれん草をしいたローストビーフ、カブとにんじんのグラッセ、サラダ、チーズ。
デザートは娘と二人で作った洋梨のクレーム・アングレーズである。
書いてみると大げさにみえるが、
材料はテルヌの市場で全部そろうので、それほど骨が折れるということもない。

ぶどう酒も何本か空になって、なかなか楽しい夜が過せた。

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朝、えり、ふらふらしてて、ベッドの横でフレンチトースト食べた。
フレンチトーストってえりが東京で熱出したとき、
ママが作ってくれたおぼえがあるんだ。
パンに卵とミルクとお砂糖とからませてフライパンで焼いたのでおしいかった。

あと病人のものとしては、くず湯やすりおろしたりんごなんかね…
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ママ、ムフタールの市場で、“山のいも”見つけたんだって。
夜のごはん、トロロと、竹輪やナスのしょう油煮ですごくおいしかった。
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やっぱりパリらしく暗い家。
それからおやつ、マコがきのう作ったパウンドケーキ、それに、えりの作って行ったシュークリーム、紅茶、チョコレート。
そのあとホールで、オリカと三人でキャッチボールをはじめた。

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朝から数学ずくめ、でも午前中は、カトル・カール(同じ重さの卵、小麦粉、バター、砂糖でつくるお菓子)作りもした。
いつもよりふくらまないんだ。おいしかったけど。
一日でなくなっちゃった。
えり、ひまがあればもっともっと作ってあげたいな。

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ママはまた、審とバスに乗りに行った。
途中、エディット・ピアフという歌手の住んでいたベルヴィルに寄って、
生まれた家を見て、横のパンやさんでショソン・オ・ポム(りんご入りパン)とブリオシュ買って来てくれた。

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七時四十五分になったので起きて朝ごはん。
コーンフレーク、ミルクティー、卵、トースト、ピーナツバターといろいろ。お腹いっぱい。
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お昼は家へもどった。
トーストに豆をのっけたのと、バタートースト、オレンジ、レモネード。
あまりおいしくない。
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テレビみたり(ニュースやバットマンを見た)、ポーラと話したりしてるうちに夕食、
トリとじゃがいも、ほうれん草、豆、そこまではおいしかったが、デザートが、
パイナップルにピンクのいやらしいソースかけたので、全部食べるようにすすめられて困った。

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この家の食事に参っちゃう。量が多くて、毎日甘ったるいレモネードが出るし…。
今日学校では三人の先生の授業が三時間あった。
日本人はみんな1eクラスみたい。
自己紹介や英語の勉強をした。
あまり面白くない。

お昼はサンドウィッチ。
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ディナーは、ハム、とりにく、チーズ、サラダ、バターパン、ポーラのケーキ、レモネード。
お風呂に入りたかったけど明日だって。まーしょうがない。

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夜は、スパゲティー、イタリアの食べたあとではどこのもおいしくない。
とくにケチャップの味のするのは。

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昼は、大抵帰って食べている。野菜や果物がほとんど無い。ヨーグルトも。
ここではフランスとちがってそういうもの食べないの。

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昼(チーズサンド、ビスケット)をすませてテニスコートへ。

高階菖子著「もう外国なんか行きたくない」
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by foodscene | 2012-10-02 15:08 | フランス


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