お砂糖もあります。
こんどは白砂糖はぜんぜんなく、茶色のだけでした。 白砂糖はとてもたかいのです。 でも、白いメリケン粉はすこしでしたがありました。 ひきわりトウモロコシも塩もコーヒーも、そして、 必要な種のぜんぶがそろっていました。 種ジャガイモまであるのです。 ローラは、そのジャガイモが食べられたらいいなと思いましたが、 それは植えつけるのにとっておかなければならないのでした。 とうさんは、にこにこしながら、こんどは小さな紙ぶくろをあけました。 クラッカーがぎっしりはいっているのです。 それをテーブルにおくと、とうさんは、またべつの包みをあけて、 小さなあおいキュウリのピクルスがいっぱいはいったガラスのびんをだすと、 クラッカーのそばにおきました。 「ちょっとぜいたくをしようと思ってね」とうさんはいいました。 ローラの口のなかにはつばがわいてきました。 かあさんは目をやさしくかがやかして、じっととうさんを見つめます。 とうさんは、かあさんがピクルスをとてもほしがっていたのを、ちゃんとおぼえていたのです。 でも、まだ、これでぜんぶではありませんでした。 とうさんは、かあさんに紙包みをひとつわたし、 かあさんがそれをあけるのをじっと見ていました。 なかにはいっていたのは、かあさんが服を一枚つくるのにじゅうぶんなだけの美しいキャラコの布地だったのです。 *** その日の夕ごはんは、ほんとうに久しぶりに、たのしさでいっぱいでした。 とうさんが、またぶじに家にもどってきています。 いためた塩づけブタは、カモやガンやシチメンチョウやシカ肉などばかり食べていたあとなので、 ことさらおいしく思えました。 それに、クラッカーと、小さなあおいキュウリのすっぱいピクルスは、何にもましておいしかったのです。 *** 「ほら、キャロライン」 そういうとうさんの声もいつもどおりです。 「お昼にたくさんこれを料理するといいよ。 種イモにとっておいたので、長いことジャガイモなしだったからな。 もうこうなったら、ぜんぶ食べちまおう」 というわけで、その日のお昼は、その種イモを食べました。 それはとてもおいしく、とうさんが、 「大きな損には、小さな得がつきものさ」というのがよくあたっていると、 ローラは思ったのでした。 *** かあさんは、食料のはいった箱から、冷たいトウモロコシパンと肉をだして、 みんな馬車の日かげのきれいな草の上にすわって、お昼を食べました。 泉の水をくんで飲み、ローラとメアリイは、野草の花をつみながら、 草のなかをかけまわり、その間に、かあさんは食料箱を整理して、 とうさんはまたペットとパティーを馬車につけました。 ワイルダー著 恩地三保子訳「大草原の小さな家」
by foodscene
| 2012-10-23 15:38
| アメリカ
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