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アーミー

コンバット・レーションと呼ばれるその携帯食には、いろいろと種類があって、
箱にメニューが印刷されている。
私は「ビーフ・アンド・ヴェジタブル・シチュー」というのを選んで、
私の”茶の間”に持ち帰った。

まず空き缶に穴をあけて七輪状のものを作り、
レーション箱の中に入っている固形燃料を安置して火をつけると、
すぐさま青白い炎をあげてチロチロと燃えはじめた。

次にビーフ・アンド・ヴェジタブル・シチューの缶をあけ、
そのまま火にかけてあたためる。
レーション箱の中には、他にクラッカーとチーズ、それからインスタント・コーヒーと砂糖も
詰めあわされている。
それぞれチョコマカと炒ったり溶かしたりしていると、
昔のおままごと遊びが甦った思いで、自分が属する状況の危険さはいよいよ私の意識から遠のいていく。

夕食を終えることにはようやく涼風がたって、みなほっとした表情で寛ぎ、
方々の草の上におしゃべりの輪を作りはじめた。

(桐島洋子著「女がはばたくとき」より)
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by foodscene | 2008-04-29 03:30 | ヴェトナム