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寒いのきらい

寒さ以上にこたえるのが食事である。

レストランに入ると、季節ごとの料理のリストがあった。
それを見てみると、夏場はけっこう料理の種類が豊富である。
例えば9月には、
<バルティック・ヘリング、鱈、ヒラメ、シロマス、鮭、ホワイト・フィッシュ、ヤツメウナギ、兎、野鳥、ワイルド・ダック、きのこ、苺、コケモモ、プラム、クランベリー、マトン>なんてものが食べられる。
なかなか豪華である。

しかし夏が終わり冬がやってくると、地表は雪と氷に覆われて、
材料そのものが極端に少なくなってしまう。
11月ともなると、新鮮な材料を使った料理といえば、
トナカイ肉とタラコとヘラジカ肉だけという有り様である。
ヘラジカ肉!
いや、9月の時点でだって、ヘルシンキの町のレストランの食事は、決して美味しいといえるような代物ではない。
あのローマ市場に並んだはちきれるように新鮮で元気いっぱいの野菜のことを思うと、
悪いとは思うけれど、僕はとてもフィンランドには長くは住めない。
こんなところでしけたキャベツと酢漬けニシンを食べながら冬を越したくない。
すごく綺麗で感じの良い都市ではあるのだけれど。

(村上春樹著「遠い太鼓」より)
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by foodscene | 2008-05-06 23:16 | フィンランド