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コサージ

おもしろ好きの母は空港の雰囲気に、もうすっかり酔い始め、
人の行き交いの見える喫茶店でコーヒーを飲みながら堂々としたもので、
私のお供は必要なさそうだ。

機内持ちこみの検査があった。
母は悪びれずに裁ちばさみを出した。
姉がぶっ飛んで来た。
「なんでこんなもの持ってきたの!」
母は何にでも使える裁ちばさみが好きなのだ。

もうすんなり飛行機に乗りこめると思っていた母は、
しょんぼりしてしまった。
準備の疲れが出てきたのかもしれない。

サッと、姉の姿が消えてしまった。
まもなくカトレアのコサージを持って、駆け寄って来て母に手渡した。
母は晴れがましさとうれしさの入りまじった笑い顔になった。
「もったいない、何様でもあるまいし......」
と、言いながら、しっかりと手に持っていた。
そして、ひと働きしたような心地で機内に向かった。
17日午前10時30分、予定どおり、
私たち2人の乗った日本航空香港行きは飛び立った。

17日夜、清蒸助魚(黒鯛の蒸し料理)、清蒸鮮鮑(蒸しアワビ)、胡椒蟹(カニ)、
白灼蝦(塩で味つけしたエビ)、咕老肉(酢豚)、焼乳鴿(ハトの唐揚げ)、

18日朝、シェラトン・ホテルの朝食。
コーヒー、バタートースト、ハムエッグス、オレンジジュース

18日昼、飲茶。蝦団子、焼豚、しゅうまい(エビ)、蟹のつめ、肉団子と湯葉、
骨つき豚の醤油豆入り煮込、蟹とニラの湯麺、ココナツ入り菓子

18日夜、潮州翅(フカヒレ)、カエル、カラシ菜のカキ油炒め、塩ゆでのガチョウ、
小カキと卵の炒め、里芋と銀杏のデザート、ココナツミルクとツバメの巣

19日朝、町に出て、粥(粥いろいろ)、油条(揚げパン)、

19日昼、中国ハム、酔蟹(酒漬けカニ)、清炒蝦仁(エビのむき身の油炒め)、
魚の甘酢あんかけ、中国野菜スープ、蒸しパン、杏仁豆腐

19日夜、マカオ・リスボアホテルのポルトガル料理。
大蝦の唐がらし風味、豚肉と玉ネギポルトガルソース、スープ(ジャガイモ、青菜のみじん切り)

20日朝、リスボアホテルの朝食。オートミール、パン、紅茶、ハムエッグス、パインジュース

20日昼、塩<火に局>鶏、菜遠牛丸(牛肉のかまぼこ風野菜炒め)、
椒塩蝦(山椒塩エビ)、致菜和肉(角煮風干野菜)、例湯

20日夜、韓国肉、クラゲ、トリ肉の細切りとネギの炒め、炒牛百叶(牛の胃袋とニラ、ニンニク、セリ風味ネギの炒め)、ペキンダックのスープ、白ゴマパン風餅、もち米甘酒風あん入り白玉饅頭

21日朝、コーヒー、オープンサンドイッチ

22日昼、飲茶。酢豚、ぎょうざ2種、春巻、もち米のハスの葉包み、買いぐい品、甘栗、ケーキ、
オレンジ、リンゴ、ナシ

以上が、私と母の香港での食事メニューである。

<向田和子著「かけがえのない贈り物」>
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by foodscene | 2009-08-30 14:39 | 香港