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浮世でランチ

ペナン島のホテルで部屋の天井を見上げると、
ナマコのような楕円形のシミがあって、私を憂鬱にさせる。
バナナチップスを食べながらまた見上げると、
それはバナナの切り口に見えた。

バタワースで列車から降りて、そこからフェリーに乗って、
ペナン島へ渡った。
植物園を散歩して、
それから屋台でナシルマという、
ココナッツミルクで炊いた白ごはんを、バナナの葉で包んであるものを食べた。
今はホテルでひとり、くつろいでいる。

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私は今、マレーシアのマラッカというところにいます。
朝ごはんはフルーツを食べて、昼は肉骨茶(マレー語ではバクテーと言うようです)屋さんに行きました。

お店に行ったら、私の他にはお客さんがいなくって、
店員のおばさんは英語がわからないらしくって、
だから私は鍋を指さして食べたいしぐさをしました。
5分ぐらいしぐさを続けたら、やっとよそってくれました。

肉骨茶は、骨付きの豚肉、湯葉、チンゲン菜のような野菜、
エノキ、マッシュルームを漢方薬で煮込んだもので、スープを飲むと、
体がジーンとしびれる感じがしました。
そうしたら泣きたくなりました。
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頷いて、私は皿を取り、朝ごはんを選び始める。
揚げ卵、謎の野菜炒め、小さなトースト。
それから、さまざまな種類のジャムの前で悩んでいると、
おじさんが側に来て、これはオレンジ、これはレモン、と教えてくれながら、
「サワー、サワー」
と顔をしかめる。でも、私はレモンを選ぶ。

安っぽいのに妙に可愛らしい青いギンガムチェックのテーブルクロスの上に、
部屋のキーと、皿を置く。
どの料理も驚くほどおいしかったので、ぱくぱくと食べた。
レモンジャムはやはり、酸味が強かった。

「オイシイ?」
おじさんが聞いてくれたので、
「おいしいです」
と頷く。3回、おかわりのために立ち上がった。

食べ終わって部屋に戻ろうとすると、
「オイシイ?」
おじさんはまた聞いてくれる。
「おいしかったです」

山崎ナオコーラ「浮世でランチ」
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by foodscene | 2010-08-30 15:40 | 東南アジア