人気ブログランキング | 話題のタグを見る

コージーコーナー

山の上の、古い家具が一家の歴史と共にある静かな家。
遠く陽に光る果樹園や教会の尖塔を見はるかす居心地のいいリビングルーム。

古い『ライフ』や『ナショナル・ジオグラフィックス』が積んであり、
籐椅子に腰かけて昼下りのひと時を楽しむことの出来るフロントポーチ。

食事時になると、ベーコンを焼く匂いや、香ばしいコーヒーの香り、
パイを焼く甘酸っぱい焦げた匂いなどが家中に漂う。
厚切りのバナナクリームパイを食べ、
開拓時代から残っているような傷だらけの鉄製のコーヒーポットから注がれる
濃いコーヒーを飲みながら聞く、
ビッグズ夫人の昔の恋の物語や、この土地に起ったさまざまな事件や、
ちょっとした労働と引き換えにコーヒーとパイをもらって、町から町を、州から州を廻って歩く「ホボ」達の話、
蜂蜜を吸いに裏戸を訪れるハミングバードや、仲間との喧嘩で傷ついて夫人の手当を受けるリス、
深夜に突然何マイルにもわたって強烈な匂いを発散するスカンクの話など、
喜代志にとって、初めて接するリアルなアメリカだった。

三浦清宏「カリフォルニアの歌」
by foodscene | 2009-11-02 14:44 | アメリカ


<< いただきもの 温室暮し >>