かあさんとローラは、トマトをとりいれた。
つるがしおれて黒ずみ、たれさがっていたので、
いちばん小さな、まだ青いトマトまでつみとった。
それでも、4リットルほどのプリザーブ(甘煮)が作れるくらい、熟したトマトがとれた。
「青いのはどうするつもりなの?」
とローラがたずねると、かあさんは答えた。
「見ていらっしゃいな」
かあさんはトマトを皮をむかずにていねいに洗った。
薄切りにし、塩とコショウと酢と香辛料をいれて煮た。
「だいたい2リットルくらい、青いトマトのピクルスができるでしょう。
初めて作った芝土の菜園で、野菜はどれも育ちがよくないけれど、
このピクルスは今年の冬のベイクト・ビーンズ(煮豆)のつけあわせになくてはならないものになるでしょうよ」
いかにもうれしそうな顔だ。
「それから、あまいプリザーブが4リットルもできるのね!」
と、メアリがいいそえる。
「ジャガイモが5ブッシェル」
そういいながら、ほこりっぽい土のいやな手ざわりを思い出して、
ローラは両手をエプロンでこすった。
「そして、カブ! たくさんのカブ!」
キャリーが叫んだ。
生のカブを食べるのが大好きなのだ。
とうさんが笑った。
ワイルダー 谷口由美子訳「長い冬」