大体、母はすることが大雑把だ。
ブラウスのアイロンかけはおざなりだし、お弁当のおかずはほとんど昨夜の残り物。
しかも、ご飯とおかずの割合が七三でご飯が多すぎる。カッコ悪い。
他の子のはちっちゃなタッパーの半分以上がおかずの部で、苺や林檎が入って彩りにも気を遣っている。そんな女の子らしいお弁当を横目で見ながら、姉のおさがりの弁当箱の中身を、安っぽい花模様が恥ずかしい蓋で隠して食べるのだ。この惨めさをどうにかしてほしい。
立子は毎日、改善を申し立てた。母の鷹子は「立子は文句ばっかりね」とのんびりした顔で笑い、ときどき思い出したように要求に応えた。
兎形に切った林檎やレタスに包んだポテトサラダに一口大の唐揚げに、菜の花のようないり卵と鶏そぼろがのった二色ご飯という華やかなお弁当。
(平安寿子 『グッドラックららばい』より)