ハリウッド女優になったOL奮闘記

その週の土曜日、私は自慢のリンゴのスライスとクルミの入ったお手製のサラダと、
お気に入りのCD2枚を持参して、ビルの住むそのスペシャルな家を訪れた。

彼が言ったとおり、家はマリブを見下ろす丘の一番上に建てられていて、
とてもプライベートな環境にあった。
勝手口のドアが開いていたのでそこからなかへ入ると、
ビルはエビとパスタをからめた前菜を作りながら、
ラビオリをゆでるためのお湯を沸かしていた。

***
ビルのラビオリがそろそろ茹で上がるころを見計らって、
ダイニングへ戻ると、テーブルにはビルが庭から摘んできた黄色とオレンジのポピーが飾られていて、
私の持ってきたサラダがきれいなサラダボールに分けられて、テーブルに置かれていた。

海を眺めながら二人で昼食をとった。
ビルの選んだCDと私のお気に入りのエンヤとパトリシア・カースのCDから交互に流れる曲を聴きながら、
私たちは自分たちがそれぞれの曲にどのような思い出を抱いているかを語り合った。

食事が済むと、ビルは私の大好きなお茶、アールグレイを入れてくれた。
お茶菓子はペッパーリッジ・ファームのミラノ・クッキー。
お腹も満たされ、いい音楽のなかでマリブのきらきら光る海を見下ろしていると、
時が経つのを忘れてしまう。

クッキーを紅茶に浸して香りを染み込ませて、それを口に頬ばっていると、
ちょっと席をはずしたビルがコードレスホーンを持って戻ってきた。
「お母さんに電話をする時間だよ」

中村佐恵美著「ハリウッド女優になったOL奮闘記」
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by foodscene | 2012-08-06 15:19 | ノンフィクション・アメリカ


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