人気ブログランキング | 話題のタグを見る

オウザークの小さな農場

お父さんは暖まるように男の子を暖炉の前にすわらせ、お母さんは、豆と冷えたジャガイモを
クモのような脚のついたフライパンに入れて、暖炉の火にかけた。

豆やジャガイモがジュウジュウいいはじめると、部屋の中に料理する温かいにおいがたちこめた。

------------------

エイブとスワイニーは、アライグマの丸焼きにカブをそえた夕飯を食べていった。

ラバに乗って2人が帰っていくと、お母さんは、手をつけてないじぶんのお皿の中身を板切れにあげて、ファイドウが食べるように外にだした。

「とっても食べられないわ」お母さんは顔をしかめていった。
「ぎとぎとした脂がこんなにたくさんついている動物は、はじめて見たわ」
「おいしかったわ」
ローズはいった。
「ウサギの肉みたいだった」
「なんの肉か、いわれなければわからなかっただろうが、それでもうまかったよ、べス」
お父さんもうなずいた。
「たしかにニオイはおいしそうだったけどね」
お母さんは、くすっと笑ってうなずいた。

------------------

朝食のあとで、お母さんは干しリンゴのパイを焼こうと、オーブンに入れた。
明日、教会にもっていくためのものだ。
明日の朝、お母さんはチキンパイも焼くつもりだった。

お母さんは魚の頭を切り落とした。
パーチが2匹と、長いひげの生えた太ったナマズが4匹、それに、ローズが釣ったコクチバスだ。
お母さんが、どうやっておなかをきれいにするかやって見せてくれた。
ローズには、じぶんで釣ったバスのうろことりをやらせてくれた。
うろこは、ランプの光の中で、宝石のようにきらきら光った。

お母さんは、きれいにした魚にコーンミールをふりかけて、塩漬け豚肉からでた脂をひいたフライパンでムニエルにした。
魚がきつね色に焼けると配膳用のお皿にとって、酢をぱらぱらっとふった。

つぎに、ウルフ川でつんできた、野性の山菜をいためた。
最後に、コーンブレッドをひたして食べるように、とろみをつけた肉汁を作った。

ようやく、繊細な味わいの、おいしい魚を食べることになった。
とろけるようにおいしい、とローズは思った。
おなかがぺこぺこだったローズは、からっぽのおなかがぱんぱんになるまで、
どんどん食べた。


(ロジャー・リー・マクブライド著 こだまともこ、渡辺南都子訳
 「オウザークの小さな農場」より)
by foodscene | 2006-08-01 01:50 | アメリカ


<< 10日間で なんでやねん >>