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数えきれぬ星

レストランに入っていくと、きのう岩塩のエビ寿司を運んでくれたお姉さんが、ニコニコしながら席に案内してくれた。

おそるおそるメニューを開くと、そこにはブレックファーストA・B・Cという3パターンしかなくてホッとした。

安心してポテト入りオムレツのBセットを注文した。
運ばれてきたBセットは本当においしかった。
トーストもオムレツもオレンジジュースもコーヒーもみんなおいしい。
私はドンドンとテーブルを叩き、
「そうなのよ!こういうもんが、晩ごはんに出てきてほしいのよ」
といいたくなった。

別段、私は晩ごはんにフルコースを食べたいわけじゃない。
質素でもいいからおいしければよいのである。
あんなクソまずい、ザリガニと、とぐろケーキを7ドル50セントも払って食べるくらいなら、2ドルのこの朝食が3度3度出てきたほうが、ずっとマシである。

私がトーストやオムレツをむさぼり食っていると、レストランのウエイターがウエイトレスがかわりばんこに、コーヒーはいらないか、とすすめに来た。

ずいぶんいれかわりたちかわり来るなあと、そーっと背のびして厨房のほうをのぞいてみると、みんなで固まってゴソゴソやっていた。


(群ようこ著 「アメリカ恥かき一人旅」より)
by foodscene | 2007-02-26 00:31 | ノンフィクション・アメリカ


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