フランスのある料理店

ベルヴィル街にある<ラオス・シャム料理店>に入った。店の主人やボーイたちと握手した。ぼくはスープ・フォーとタイエビの串焼きを注文した。

(シリル・コラール著 長島良三訳 「野性の夜に」より)
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# by foodscene | 2006-04-06 00:43 | 食堂

カレー

里帰りした日、母が作ってくれたのは、にんじんの皮が剥かれていないカレーだった。
一緒に食べた弟に、「ふつう皮は剥くよね」と囁くと、弟も「ああ」と苦笑いをした。
『おふくろの味』と聞いて、私が思い浮かべるのは、大皿に山盛りの、しかも醤油をかけただけの豆腐だったり、コゲが点々と混じり、だらっと崩れた卵焼きだったりする。極めつけは、だしの煮干しが入ったままの、具がゴロゴロと大きい味噌汁だ。

(高野さやか著 「おふくろの味」より)
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# by foodscene | 2006-04-06 00:40 | 日本

ジャッキーという名の女

「みんながそろって、とくに女性たちがそうでしたが、ジャックは大統領になるものと楽観的に信じていました。ローズ夫人、ユーニス、パット、ジーン、エセルがキッチンに集まって、チョコレートケーキをさかんにパクつきながら、きたる大統領選の作戦を練ることに熱中していました。ひとりが妙案を考えつくたびに、全員で居間に走りこんでゆき、選挙参謀のボビーと相談するんです」

(C・D・ハイヒマン著 広瀬順広訳 「ジャッキーという名の女」より)
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# by foodscene | 2006-04-06 00:37 | ノンフィクション・アメリカ

写経

サラがキチンから姿を見せた。オードブルを盛りつけた皿を両手で捧げ持っている。見事な盛りつけだ。パイ皮の可愛い器に入ったソーセージとマッシュルーム、何かねりものを詰めてふくらんでいるカリカリのパイ皮包み、チーズの香りがする熱い軽焼菓子。サラはみんなにすすめる。
「さあ、たくさん召しあがれ!」

「サラ、すごいご馳走じゃないの!」とマーティが言う。
「とてもまねできないわ」
「あら、そんなことないわ。ありきたりのものばかりよ。あたし変ったお料理なんてできないの、ほんとうよ。べスは違うわ。彼女はお料理の名人ですもの。あの秘訣、わからないわ」
「このチーズソースはすばらしいな」とエドが言った。
「マーティ、作り方を教わっておいてくれよ、いいね?」
 食事が済むと苺のムース、申し分なしの逸品。

(ジュディ・ゲスト著 大沢薫訳 「アメリカのありふれた朝」より)
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# by foodscene | 2006-04-06 00:34 | アメリカ

1アイスクリーム、2アイスクリーム・・・

「私はただ、デザートに何を買ったらいいか、決めようとしてるだけよ」。
マギーはそう言いながら、前を向いてシートベルトを探った。
「ルロイのパパの好きなデザートはね、チョコレート・ミントのアイスクリームよ」
「あ、あたしも」とルロイが言った。
「なに言ってんの。チョコレート・ミントなんか嫌いなくせに」とフィオナ。
「好きだもん」
「嫌いです」
「好きなんだってば。嫌いだったのは小さいときだもん」
 マギーはあわててとりなした。
「それじゃ、ほかにはどんなアイスクリームが好き、ルロイ?」
「ええと、ファッジ・リップルとか」とルロイが答えた。
「まあ、偶然ね。ジェシーもファッジ・リップルが大好きなのよ」
 フィオナが目玉をくるっと上に向けた。ルロイは「ほんと?ファッジ・リップルって、すっごくおいしいよ」
「チョコレート・ミントしかないときは、デザートは食べなかったでしょ」とフィオナ。
「ママだって、あたしのことを全部知ってるわけじゃないんですからね!」。
ルロイは大声で反発した。

(アン・タイラー著 中野恵津子訳 「ブリージング・レッスン」より)
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# by foodscene | 2006-04-06 00:26 | アメリカ

夕食をどうぞ

 一時停止の標識が現れ、アイラはスピードを落として角を曲がり、ルート1に入った。田舎道を走ったあとのルート1は快適だった。トラックが次から次へと流れるように向かってきた。ヘッドライトを点けている車もある。こぢんまりしたカフェのポーチに<夕食をどうぞ>という手書きの看板が出ていた。農場の収穫を使った料理にちがいない―穂軸に着いたままのトウモロコシとか堅パンとか。マギーは言った。
「途中で買い物をしていきましょう。ルロイ、おなか減った?」
 ルロイは大きくうなずいた。
「私も、朝からタコ・チップスとプレッツェルしか食べてないの」とマギー。
「それと、真っ昼間からのビールと」とアイラ。
 マギーは聞こえないふりをして言った。「ルロイ、何が食べたい?」
「さあ、わかんない」
「何かあるでしょ」
 ルロイは握りこぶしをグローヴにパシッと打ちこんだ。
「ハンバーグ?ホットドッグ?炭火焼きステーキ?それともカニなんてどう?」
「カニって、あの殻に入ったやつ?オエッ」
 マギーは言葉に詰まった。
「この子が好きなのはフライドチキンよ」とフィオナ。「いつもうちの母に作ってくれとせがんでいるんだから。そうでしょ?ルロイ」
「フライドチキン!最高!途中で材料を買っていきましょう。すてきじゃない!」
 ルロイは黙っていた。無理もない。当のマギーでさえ今のはわざとらしかったと思っているのだから。年寄りはつい力が入りすぎる。でも、まだ根は若いのだ。老けた顔の下には若さがあふれていることを、ルロイにはわかってもらいたかった。

(アン・タイラー著 中野恵津子訳 「ブリージング・レッスン」より)
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# by foodscene | 2006-04-06 00:22 | アメリカ

サンドイッチとりんごは定番だった

 マギーはルロイをデイジーに預けて、バスケットの中のランチの包装をほどきはじめた。
「ライ麦パンはハム、白パンはターキー、全粒パンはローストビーフのサンドイッチよ。チキン・サラダにゆで卵、ポテト・サラダ、コールスローもありますよ。モモにイチゴにメロンもね。おなかにバースデーケーキを入れる場所も空けといてよ」。
売店で買ったジャンク・フードを頬ばっている人々が、珍しそうにベンチに並んだバスケットを眺めていた。バスケットにはひとつひとつ、糊のきいたチェックの布がきっちりと敷いてあった。

(アン・タイラー著 中野恵津子訳 「ブリージング・レッスン」より)
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# by foodscene | 2006-04-06 00:15 | アメリカ

私も自販機でロロを買うのが楽しみだった

 アイラはガソリン代を払いに事務所に行き、スナック菓子の自動販売機が置いてあるのに気がついた。なにか欲しいものはないかと訊きにマギーとオーティス氏のほうに近づいていくと、ふたりは熱心に話しこんでいた。オーティス氏がダルースとかいう女の話をしている。アイラは「マギー」と声をかけた。
「ポテト・チップス売ってるよ。きみの好きなバーベキュー味だ」
 マギーは、いらないというように手を振って、オーティス氏に言った。
「それはもう絶対、あなたが正しいと思いますよ」
「ベーコン・ラインズもあるよ、マギー!このごろ、ベーコン・ラインズなんて珍しいじゃないか」
 マギーはアイラに顔を向けて、遠くを見るような目つきで言った。
「私がダイエットしてるの、忘れたの?」

(アン・タイラー著 中野恵津子訳 「ブリージング・レッスン」より)
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# by foodscene | 2006-04-06 00:11 | アメリカ

向田邦子の恋文

昼食:おでん 残り全部、卵、パン。
3時 邦子来り 種々話し合う。
夕食:さしみ、ウインナ、野菜いため、わかめ酢の物でビールを飲む。
夜 久しぶりでテレビなど見る。

昨16日夜シチュー第一回、こんどのは一寸味が薄いようです。でも 有難く味わっております故 気をよくして下さい。

10時すぎ本屋廻り。 
昼食:シチュー残り全部、トマト、卵、パン。
夕食:さしみ、おしたし、肉とこんにゃく煮付、ウィンナ、椎茸、豆腐、わかめのみそ汁で久しぶりに 夕食を満喫する。
10時までしゃべり合う。邦子も一寸ひと息という所か気楽そうでよかったと思う。

4時半ごろ 新宿へ。 車屋で焼とり、生かき、ひりょうずなどでビールを呑む。
パチンコをのぞいたが入らず、プレゼントとして マフラーを買ってくれる。
いそべ焼とおぞうにを食べて帰る。

昼食:トマト、キウリ、卵2、パン。神田で本屋まわり、収穫なし。
5時 邦子来る。 
夕食:さしみ、邦子製八宝菜、わかめの酢のもの、おでんと豪勢に並べてパーティ。

昼食:トマト、キウリ、八宝菜(昨日の残り)、パン。
夕食:おでん、コンビーフ缶詰。治療。

高円寺で草履、ケーキを買う。
留守中に邦子 来ている。重箱づめが例年と違ってケンランに作られた。さすがに邦子も疲れているようだ。二人でケーキと紅茶。支度終って、1時半帰って行く。昨日のすき焼なべにうどんを入れてたべる。うまい。
 部屋の大掃除をする。夕方、パン追加分を買って買物おさめ。

昼食:ラーメン(インスタント+ネギ、玉ネギ)。

昼食:サラダの残り、おせちを少々、インスタント・ラーメンにねぎ、玉ねぎ、鯨水煮缶詰を入れたの、紅茶、少しあたたまる。

夕食:スキヤキ、酢の物、おせちでこたつに入ってビールを2本。

昼食:昨夜のすき焼の残りの中へラーメンを入れたの。卵、おせち。
夕食:さしみ、かに きゅうりの酢のもの、シチュー、おひたし。
シチューですっかり暖かくなった。

昼食:おせち総ざらえ、卵、パン。
夕食:かれい煮付、サラダ、焼とり、大根みそ汁。

 昨20日夜 シチューを頂戴、なかなかうまい、つい食べ過ぎそうです。チリ鍋は今夜のたのしみ。予定としては金曜まで大丈夫ですから、心配せずやって下さい。今日のおヒルは トマト、キウリ 卵、はまぐり缶詰、パン、紅茶でした。

昼食:トマト、キウリ、卵、パン。
夕食:シチュー(ジャガ芋と玉ネギ追加)、クラッカー。早々に布団へ。

夕方 邦子来る。久しぶりで二人で夕食:さしみ、しいたけ、ウインナ、ひじき、おから、サラダ、大根みそ汁、ビールもうまかった。これで足さえよければと愚痴が出る。

昼食:おでん、パン。
夕食:すき焼、サラダ、人参とレンコン。そのあと邦子は仕事をする。「赤穂浪士」をみたあと 10時に出かけたが 録音中止で逆もどり、シチューを食べて11時 帰って行く。

昼食:昨夜のすき焼でおじや、サラダ、おでんの残り、風はあるが 太陽の暖かさは相当なもの。
邦子来り、夕食は 豆腐 ?、酢のもの、おしたし、おすまし。

昼食:中華まんじゅう、サラダ、わかめ、卵。
夕食:シチュー、卵、パン。

(向田和子著 「向田邦子の恋文」より)
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# by foodscene | 2006-04-05 02:33 | ノンフィクション日本

向田邦子の恋文 たべてください

実はゆうべ、NHKの帰りに、ふと口ざみしくなって、「ヴィクトリア」でケーキを買い、例のよみ手のある夕刊四紙をよみながらムシャムシャやってたら、五つぺロリとたべてしまいました。そのあと、のり茶をたべて、夜食におにぎりを三つ。
 そしたら、案の定、けさは、オナカがしくしくして、少しピーです。さすがの鉄の胃もすこしやられました。それで、クスリをのんで、今朝はグレープフルーツのジュースとサラダだけ。四時現在絶食をしています。

本二冊買って高円寺駅からまっすぐ帰る。昼食:トマト、キウリ、ウインナ缶、パン。
夕食:シチューの残り、大根おろし、卵2、パン。

昼食:トマト、キウリ、みそ汁、パン。1時風呂へ入る。

5:30 邦子の案内で車屋で魚類をふんだんにビールを1本ぐらい飲む。
7:30 パチンコをやって帰途につく。

寒くなってきたようですから、体を大事にして。
みかん大いにたべるべし。

昼食:トマト、キウリ、卵、スープ、パン。

夕食は天ぷらを煮てみる。醤油、ミリン、砂糖、味の素でまあまあの出来(ゑび、あじ、いか、いも、はす、野菜2種)。

12:00 高円寺へ。昼食:ホットドッグ型パン、コーヒーで軽くすます。

5:00近く 邦子来る。サシミ、ソーセージ、シイタケ、サラダで夕食。
       そのあと、シチュー、おでんと支度をしてホテルへ帰って行く。


 例によって定食で食事。ここは洋定食はルームサービスしてくれないので、また和食。のり、みそしる、オムレツ、シャケ、オシンコ、というこん立て。デザートにきのうかえりにかったミカンを1ヶたべました。

昼食:邦子が昨日 買っておいてくれたサラダとトマト、パン。午后 あまり温度上らず冷い。
夕食:おでん。冬はこれに限るといふところ。

シチューいい味でした。1/3ほど食べました。ラーメン、ぎょいん缶詰というメニューです。
今週中はたっぷりあたたかい食事が出来そうですから安心していい仕事をして下さい。
野菜も缶詰もO.K。

きょう(水曜)は、朝10時から弟の会社へ取材に。社長専務、とも大変な協力ぶりで、二時間にわたってはなしをきき、社内を一巡しました。市場調査もゆきとどき、なかなかの近代企業です。デラックスなおひるつき。しかもホテル住いならと、カンパチのお刺身ににしんの煮つけetcといった心くばりに感激しました。

高円寺へ雨の中を出かける。親子丼を食べる。久しぶりの米のメシ、ぺロリ。
夕食は おでんの外にトマト、キウリ、しゃけ缶とバラエティをつけた。

10時高円寺へ。昼食:シチュー、トマト、キウリ、卵。シチューも今日で終り。
追加の芋、人参が多すぎて食いすぎる位。

4:00すぎ 邦子来り つもる話に花が咲く。
夕食:さしみ、豆腐・せりの味噌汁、牛肉、じゃがいも・玉ねぎの煮込、わかめ酢のもの、ビール。久しぶりにいい気持になる。

昼食:ホットドッグ、卵、牛肉煮込の残り。天気がパッとしないせいか、昼間からうすら寒い。
夜 邦子来り 
夕食:サラダ、ソーセージ、マッシュルーム、野菜煮、かれいのうまいやつ と御馳走。

夕食:おでん、すき焼缶詰(コープ印、赤い丸い缶、缶切つき、内容まずまず)、卵、パン。

ケーキはあのあと一ヶたべ、残り三つを大切にしまっておいたところ、妹がやってきて、「アラ、おいしそうね、お父さんとお母さんとあたしとちょうどよ」と吐かして、さっさと大きなバッグにしまわれてとんだところで親孝行となりました。
 夜は、久しぶりで、デラックスでいこう、と安いルーム代の分も合せて、妹と二人でグリルでビール2本、シャリアピンステーキとグリル・サーモン、オードブル、という食事でゴキゲンになりました。

おでんの調子はどんなでしょう。今のうちに、せいぜいおでんずくりを練習して、いよいよ食いつめたらおでんやでもしようかしら。でも私のは仕込みが高くて、まず倒産でしょうね。

 いまミカンをひとつたべました。やはり空気が乾燥しているのか、ミカンがとてもおいしい。一日に五つから七つはたべます。そのうちに美人になるでしょう。
そっちもせいぜいたべて下さい。
では、ぼつぼつはじめるかな。イヤダナ。
日曜日に、お刺身でビールをのむのを 
たのしみに。 
お大事に。

昼食:トマト、キウリ、卵。
夕食:おでん、魚てんぷら缶詰、おにぎり。

(向田和子著 「向田邦子の恋文」より)
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# by foodscene | 2006-04-05 02:03 | ノンフィクション日本